山と温泉の旅 奥多摩三大急登の稲村岩から鷹ノ巣山
 
山行データ
歩行距離 10.6km
標高 1736.5m
最大標高差 1190m
 行動時間
1日目 6時間5分
 
2014年5月18日(日)
日原
2.7km 10:55
12:00
稲村岩
1.6km 12:20
13:30
1420m付近
1.2km 13:40
14:30
鷹ノ巣山
2.5km 15:00
16:00
稲村岩
2.6km 16:05
17:00
日原
 


奥多摩駅から日原鍾乳洞への山道を進んで日原の集落に出ると、正面にそびえ立つ稲村岩が目に飛び込んでくる。
背後の鞍部から岩場を登ると、この稲村岩の頂上を踏むことができる。頂上からは奥多摩深奥部の360度の展望が開け、なかなかの絶景である。

ここからさらに鷹ノ巣山へと続く尾根は、奥多摩三大急登と呼ばれる厳しいルートだという。頂上直下のヒルメシクイノタワという緩斜面まではひたすら展望のない急斜面を登るだけという苦しいルートだが、鷹ノ巣山に登りつめると一転して素晴らしい展望が開け、大きな達成感を得ることができる。

 このルートを楽しめるかどうかは、人それぞれといったところだが、稲村岩の展望と、山頂からののびやかな展望は頑張った人だけに与えられるご褒美と言えるだろう。

 ここしばらく運動不足解消のため、無理せず歩ける山ばかりを歩いてきたが、一向に体力が戻らないので、ここでひとつ奥多摩三大急登にチャレンジしてみることにした。

 このルートは一般登山道なので道迷いなどの心配は特に無いが、稲村岩への岩場は足を踏み外すとそのまま転落しそうな場所もあり、途中で引き返す人もいるようだ。また、下りでこのルートを行く場合は、稲村岩の鞍部からの急斜面が少々要注意かもしれない。膝が笑った状態でここを通過する場合は滑落しないよう、最後の要注意ポイントになるだろう。

 

日原の集落からの景色。
毎日こんなのびやかな風景を見て暮らせるとはうらやましい。
明るい日原の街中を進む。
万寿の水。対岸の清水をここまで引いたものだそうだ。なかなかの名水だという。
稲村岩への登山道はここからいったん谷に下る。
谷まで降りて巳の戸橋を渡る。
対岸の斜面を登り始める。
今日は最初から急登を覚悟していたせいか、足が軽い。
ゴルジュ状の涸れた谷を通過する。
水は無いがなかなかの迫力である。
こんな谷ヶできあがるはどれくらいの年月がかかったのか。
結構きつめの坂を1時間ほど登る。
日原から見た稲村岩の背後の鞍部に出ると左右に道が分かれる。左へ行けば稲村岩の頂上に出る。
稲村岩へと向かうと、いきなり岩場が続いている。
男性の登山者が、怖いので引き返してきたと言って戻って行く。


稲村岩の上に出ると360℃の絶景。
頂上に生えた角のような岩によじ登って周囲を見回していると、
単独の女性が傘を片手に登ってきた。
こんなところまで来て帰れるだろうかなどと言っていたが、
かなり山の経験を積んでおられるように見えた。
あのピークは本仁田山。
手前には日原の集落が見える。
あの右の尾根を超えて遠くに見える尾根は長沢背稜。長沢背稜は雲取山の北側から東に延びる尾根で、なかなか渋いコースだという。
岩陰に壊れかけたような祠がある。
稲村神社だそうだ。
一服してから、今度は鷹ノ巣山への尾根へと向かう。
再び岩場を辿って鞍部へと戻る。
ここから再び登り。2時間ほどで鷹ノ巣山に出る。
ひたすらきつい坂を登る。
5分間が過ぎるのがひどく長い。
5分間が過ぎたら次の5分間を耐えて歩く。
もはや苦行である。
1時間登ると尾根が広くなりやや緩斜面が現れた。
ここで一休みすることにした。
展望は無いが、落ち葉が敷きつめられてなかなか雰囲気はよい。
さらに行くと、ようやく地形図で見た顕著な緩斜面にたどり着いた。標高1560m付近のこの場所はヒルメシクイノタワと呼ばれる。出発が遅かったのでもう2時。昼食を食べたいところだが、満腹しては登る余力を無くしてしまいそうだ。先へと進むことにした。
あれが山頂だろう。
もう一息だ。
次第に木々がまばらになり、空が開けてくる。
山頂が見えた。


山頂は一転して素晴らしい展望。
手前の尾根を降りれば奥多摩湖があるはずだ。
もう2時半だが、ここで昼食にした。
景色の良いところは日差しが厳しいので、小さな灌木の日陰を見つけて収まった。
本当は、ここから石尾根を東に向かい、城山の北東尾根(登山道なし)を下ってみたかったのだが、もう3時。
素直に元の稲村岩尾根から降りることにした。
山頂も見納め。
山頂の直下では北面の長沢背稜が見えるが、すぐに展望は無くなってしまう。
後は、先ほど登った急斜面をひたすら下る。
ひたすら下る。(以下略)
展望が無いとはいえ、清々しい林の風景だけが救いだ。
1時間で稲村岩の分岐まで降りた。
ここからしばらくは急斜面をトラバース気味に進む。
疲れた足腰で行くには滑落注意である。
谷まで下って先ほどのゴルジュ帯を通過する。
ここを登れば日原の集落に戻る。
明るい日原の住宅地を歩く。
懐かしい昭和の風景だ。
初老の住民の方が山に行ったのかと話しかけてきた。
話が止まらない。こちらも急ぐ理由はない。
こんなのんびりした感覚も久しぶりだ。
奥多摩まで戻って、もえぎの湯で汗を流して行くことにした。


 
inserted by FC2 system