山と温泉の旅 安倍奥の蓬峠東尾根から山伏
 
山行データ
歩行距離 14.4km
標高 2013.7m
最大標高差 850m
 行動時間
1日目 7時間10分
 
2014年5月5日(月)
大谷崩分岐
3.2km 4:50
7:00
蓬峠
2.2km 7:05

山伏
3.0km 8:35
10:00
新窪乗越
1.3km 10:05

扇の要
4.7km 10:50
12:00
大谷崩分岐
 

 静岡県の安倍川源流付近に、日本三大崩れと呼ばれる大谷崩れがある。300年ほど前の宝永大地震で800mも崩壊した山腹は圧倒的な迫力なのだそうだ。10年ほど前に立ち寄った際は天気が悪く何も見えなかったので、いつかまた行って見たいと思っていた。

 その大谷崩れを取り巻くように2000m級の稜線が続いていて、最高峰の山伏(やんぶし)、八紘嶺など山梨百名山の山頂が並んでいる。山伏から大谷崩れをかすめて八紘嶺への縦走路は一度歩いて見たかったのだが、一日で歩くにはちょっと長すぎるので、山伏と大谷崩れをつなぐループコースを歩くことにした。

 西日陰沢から蓬峠を経て山伏に登り、大谷崩れを下りるルートに登山道が通っているが、どうせなら少し変わったルートを歩きたい。地形図を見てみると、大谷崩れの左岸尾根、右岸尾根は歩けそうに見える。調べて見ると、それぞれ七人作り尾根、鳩胸尾根と呼ばれ、良く歩かれているようだが、藪が手強いらしい。

 そこで、蓬峠の東に延びる尾根を登って見ることにした。このルートも良く歩かれているようで、1196m点から先は踏跡がはっきりしている。笹も刈られた後があり、危険な場所も少ない。ただし、あくまでも登山道ではないので、いつも整備されていることは期待しない方が良いだろう。

 山伏の山頂から大谷崩れへのルートは尾根が広いため、道迷いに注意が必要だ。今回は特に、残雪がまだ残っていて道は無く、ガスも出てコンパス無しには歩けない状態だった。今回のルートで危険なポイントは、天候しだいでは山伏山頂付近、それから大谷崩れの落石と言えるだろう。

 


朝の4時50分、まだ薄暗い山道を歩き始めた。
なるべく早く出発して、ゴールデンウィークの渋滞が始まる前に帰ろうという算段である。
蓬峠東尾根の末端から尾根に取付いた。
最初は結構な急斜面。
ほどなく緩斜面に入る。
1196点を超えると、緩斜面に明瞭な踏跡が続いている。
誰かが笹藪を刈ってくれたらしい。
歩きやすい緩斜面が続く。
右側の展望が開けると、山肌を大規模に工事しているのが見えた。驚くほど大規模な工事だ。岩肌が痛々しい。
苔むした大岩を乗り越えると、蓬峠はすぐそこだ。
あれが蓬峠。右手の斜面から下りられる。
蓬峠から振り返るとこんな感じ。
ここから先はきつめの登りが続く。
山頂付近のガスに突入したようだ。
牛首峠からの道と合流すると、広い尾根に雪がだいぶ残っている。
すぐに山伏の山頂に着いたが、ガスのせいで展望はまったくない。それどころか道が良く分からない。
踏跡がいくつもあって、どれが正しいのか分からない。
開けた場所では、コンパスが無ければ方向が分からなくなりそうだ。
しばらく行けば尾根が細くなって分かりやすくなるはずだ。コンパスを睨みながら先へと進む。
雪が無くなるころには尾根もはっきりして歩きやすくなった。
ちょっと不気味な木々。
新窪乗越に到着。
楽しみにしていた大谷崩れは全く見えない。
雨も本降りになってきた。
大谷崩れに沿って着けられた登山道を下る。
一歩ごとにずるずると滑る坂をグリセードのように駆け下りた。
雪渓に行く手を阻まれた。
堅く凍った雪なのでアイゼンを着けて行くことにした。
かなり大きな岩が滑り落ちている。
雪融けの時期は落石が心配な感じだ。
尻セードで下るのに手頃な斜面なのだが、一面に細かい瓦礫に覆われている。
雪渓もなかなか楽しめた。
雪渓が終わると谷沿いに山道が続いていく。
大谷崩れをとりまく谷が集まった扇状地は扇の要と呼ばれているらしい。一面の瓦礫で埋め尽くされている。
ガスの下に出ると、なかなかの絶景が続いている。
舗装された林道に出てからさらに1時間ほど歩くが景色は良い。なかなか楽しめるコースだった。
帰りがけに近くの梅ヶ島温泉黄金の湯に寄っていくことにした。ぬるりとしたアルカリ泉が気持ちよい。
雨で冷えた体が芯から温まる。
満足して東京へと向かった。

 
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